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材料開発データベースの整備により 社内コミュニケーションを活発化、開発力の向上へ
日本ゼオンは1950年の創業以来、自動車用タイヤなどの合成ゴムや高機能樹脂など世界トップクラスの化学製品を提供し続けてきました。「人の真似をしない」独自技術開発への挑戦を主導する総合開発センター。総合開発センターでは、QunaSysとともに、材料開発のデータマネジメントシステム(DMS)を構築してきました。なぜDMSを作ろうとしたのか、どういった成果が得られたか、研究開発本部総合開発センター長の高橋和弘氏と総合開発センターデジタル研究開発推進室の和田梓氏にお話を伺いました。
量子ダイナミクスシミュレーション
量子ダイナミクスシミュレーションは、原子核の量子効果及び電子と原子核の運動のカップリングである非断熱効果を考慮することができ、自然現象をより正確に記述できる手法です。
本共同研究では、量子コンピュータ上での量子ダイナミクスシミュレーション実現のためのアルゴリズム開発に取り組んでいます。 将来的に量子コンピュータ実機の規模と精度が十分向上した際には、本共同研究で開発するアルゴリズムを用い、これまで取り入れることが困難であった非断熱効果を顕に扱った機能性材料の設計を行うことが可能となります。これにより、光機能材料や触媒設計等の領域での材料設計のありかたを大きく変革していくことが期待されます。
分子の振動数解析
分子の振動数解析は、化学物質解析における重要な手法の一つです。振動数解析を行って得られる分子振動スペクトルは、分子の「指紋」のようなものであり、分子の構造決定や化学反応機構の解析等に広く用いられています。特にエネルギー分野では、石油精製や水素製造プロセスにおける触媒反応解析、潤滑油表面における添加剤等の反応解析などにおいて、振動数解析が重要な位置づけを占めています。
一方で、振動数解析は古典コンピュータでは難しく産業応用が進んでいないという課題がありました。これに対し、ENEOSグループとQunaSysは、量子コンピュータ上で振動数解析を行うための量子アルゴリズムの開発に取り組み、その有効性をHoneywell実機上で実証致しました。
量子化学計算のための基礎手法
本共同研究では、実用的なサイズと精度の量子コンピュータが数年以内に実現することを見越して、量子コンピュータを量子化学計算・材料開発に活かすための、基礎手法の開発を行っています。 これまでに、量子化学計算を効率化するアルゴリズム(軌道最適化ユニタリー結合クラスター法)※1や、周期系エネルギー計算のためのアルゴリズム※2を開発し、学術誌にて発表を行っています。
※1: Physical. Review Research 2, 033421 (2020)
※2: arXiv:2008.09492
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