QunaSys、デンマーク・イノベーション基金の助成金を獲得
量子化学分野における量子コンピュータの応用に向けてコペンハーゲン大学、NQCPと共同研究プロジェクトをスタート
2025年3月3日 コペンハーゲン
QunaSysは、化学分野における量子コンピュータの産業応用を目指した共同研究プロジェクトHyperTenQを開始します。本プロジェクトは、創薬、材料科学、サスティナブルな環境開発のための技術など、産業課題を量子コンピュータの技術で解決することを目的としており、政府系基金であるデンマーク・イノベーション基金より1,900万デンマーククローネ(約4億円)の支援を受けることが決まりました。
量子技術の次世代イノベーションを推進
HyperTenQは、QunaSys、コペンハーゲン大学およびノボ ノルディスク財団の量子コンピューティングプログラム(NQCP)*の3団体が連携し、量子コンピュータを活用した化学分野の計算課題の解決と新技術の開発を目指す戦略的共同研究プロジェクトです。
現在のコンピュータでは、化学における複雑なシミュレーションに膨大な計算コストがかかり、精密な予測を行うことが困難です。しかし、量子コンピュータを活用することで、従来のコンピュータでは実現できなかった規模での計算が可能となり、計算科学の可能性を最大限に引き出すことができると考えられています。HyperTenQは、量子技術の産業応用への道筋を模索し、科学的な革新を実現させることを目指しています。
*NQCPは、コペンハーゲン大学のニールス・ボーア研究所を拠点とし、量子アルゴリズムとその応用研究を推進するための研究機関です。
量子化学の未来を切り拓くプロジェクト
本プロジェクトでは、4年の期間にわたり以下のことに取り組みます。
- 量子アルゴリズムの改良: Tensor Hypercontraction(THC)とQubitization技術を活用した量子位相推定(QPE)のアルゴリズムの改良を目指します。
- 光方式による新型量子コンピュータとの統合が可能なソフトウェアを開発:これにより限られた計算リソースを最大限に活用することを目指します。
- 誤り耐性量子コンピュータ(FTQC)において利用可能な拡張性の高い化学計算のアプリケーションの開発: 量子化学の実用化を見据え、製薬、エネルギー、先端材料開発など幅広い分野での導入を可能にする基盤整備を行います。
QunaSysは、本プロジェクトを通じて最先端の研究機関と連携しながら、量子コンピュータを用いた科学的・産業的価値の創出に貢献していきます。
QunaSys Europe CEO エリック・スタンゲラップのコメント
「QunaSysはこれまで、化学シミュレーション向けの量子アルゴリズム・ソフトウェア開発に注力してきました。HyperTenQは、私たちの技術開発をさらに押し進める機会であり、NQCPの最先端技術と合わせることで、量子化学の未来を切り拓くことができると確信しています。」
NQCP アルゴリズム&アプリケーション研究ディレクター ジェマ・ソロモン教授のコメント
「QunaSysの高度な量子ソフトウェアとニールス・ボーア研究所独自の量子ハードウェアプラットフォームの連携により、化学量子計算における画期的な研究成果を生み出すことを期待しています。」
プロジェクト概要
- プロジェクト名: HyperTenQ - 量子化学における量子位相推定アルゴリズムの強化
- 助成金額: 1,900万デンマーククローネ
- 総予算: 2,100万デンマーククローネ
- 期間: 4年間
- 参加団体: QunaSys、コペンハーゲン大学化学研究科、ノボ ノルディスク財団量子コンピューティングプログラム(NQCP)
本助成プロジェクトの詳細については、以下をご覧ください。
QunaSysについて
QunaSysは、量子コンピュータ向けソフトウェア開発の最前線を走る企業として、量子アルゴリズムの研究開発を推進し、化学、材料科学、その他の産業応用を推進しています。特に、量子機械学習や量子化学分野に強みを持ち、学術機関や産業界、政府機関と連携しながら、量子コンピュータの実用化を加速しています。
メディアお問い合わせ先: pr@qunasys.com
QunaSys Europe
Website: https://qunasys.com/
LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/qunasys