QUNASYS 2.8億円の資金調達 量子コンピュータの実用化に向けて研究・開発を加速
株式会社QunaSys(本社:東京都文京区、代表取締役:楊 天任、以下「当社」)は、この度、グローバル・ブレイン、 新生企業投資、ANRIの計3社を引受先とする第三者割当増資により、総額 2.8億円の資金調達を実施したことを発表致します。
■直近の事業概要
当社は、「社会の不可能の壁を傑出した技術で超越する」ことをコーポレートミッションとして掲げ、量子コンピュータ向けのアルゴリズムとアプリケーション開発を行ってまいりました。
量子コンピュータは、量子化学計算、機械学習、最適化計算、暗号解読(素因数分解)等への応用が期待されています。 当社は、その中でも実用化が近いとされている量子化学計算と機械学習を中心に、当該領域で最先端を行く大学や企業とも連携しながら、量子コンピュータのパワーを最大限引き出すアルゴリズムの開発に取り組んでいます。
また、今後の産業応用を見据え、ユーザーが幅広く活用可能なソフトウェアの開発についても積極的に取り組んでおります。これまでも、世界に先駆けて重要性の高いアルゴリズムの提唱を行い、量子コンピュータの可能性を広げてまいりました。
加えて、IBM Q Network、Microsoft Quantum Network Startups等を通じ、量子コンピュータハードウェアベンダーとの連携も進めております。
■資金調達の目的
今後は、アルゴリズム・ソフトウェア開発の一層の加速を目指します。また、量子コンピュータ技術の健全な発展と社会実装に向けたエコシステム形成にも取り組んでまいります。
【具体的なマイルストーン】
・世界初の量子コンピュータ実用例(量子加速)の確立
・量子コンピュータ活用ノウハウを詰め込んだソフトウェアの開発
・量子情報・量子化学の研究者コミュニティの活性化
・素材業界における計算科学活用の支援 etc...
量子コンピュータ業界全体の開発力の底上げを図るとともに、ユーザー企業様にとっての量子コンピュータ活用メリットの最大化を目指します。
■代表からのコメント
《QunaSys CEO 楊 天任》
今回の資金調達により、量子コンピュータのさらなる発展に向け、存分に取り組むことのできる盤石な体制を構築することができました。また、内閣府の戦略的イノベーションプログラム(SIP)に採択いただいたことにより、より一層の活動加速が可能となります。
今後は「これまでの古典コンピュータでは不可能であった計算を量子コンピュータが可能にする」という、大きなマイルストーンの達成を、ハードウェアベンダーとの協力の中で世界初の実現を目指します。そして、量子コンピューターのパワーを誰もが簡単に享受できるようなソフトウェアの開発を目指していきます。
量子コンピュータの実用化に向けては、乗り越えなくてはならない障壁が数多く存在し、一筋縄ではいきません。これからは、世界中からこのチャレンジに挑戦できる優秀な人材を集め、世界中の第一線の研究機関・企業とともに、技術開発に取り組んでまいります。
■投資家からのコメント
《グローバル・ブレイン General Partner 百合本 安彦 氏》
QunaSysの強みは人であり、事業と技術のバランスが取れた経営陣、欧米競合にも負けないエンジニア、彼らを全面的に支える日本を代表する若手研究者から構成されるチームに大きな魅力を感じ、今回投資をさせて頂きました。
量子コンピュータのアルゴリズム・ソフトウェア開発において間違いなく日本を代表するスタートアップであるQunaSysを、投資家として支援させて頂けることは大変嬉しい限りです。量子コンピュータ業界において、QunaSysが日本発のグローバル企業として成⻑されることを期待しています。
《新生企業投資 代表取締役社⻑ 松原 一平 氏》
高い成⻑が期待できる量子コンピュータ領域においてトップクラスの技術開発能力を有し、活力あるマネジメントチームを擁しているQunaSysの成⻑に大いに期待しております。
成⻑ステージに応じた適切なレベルでのガバナンスによる事業運営支援や、事業開発上のアドバイス等により、QunaSysの更なる成⻑の加速をサポートしてまいります。
《ANRI Partner 鮫島 昌弘 氏》
「日本にこんな素晴らしい研究者の方々がいるので一緒に量子コンピューターのベンチャーを立ち上げませんか?」本郷の焼肉屋で楊さんに提案してから数年。まさに会社をゼロから立ち上げるところから支援させて頂いているQunaSys社が今回グローバルブレインさん、新生企業投資さんにも株主に入って頂きました。
量子コンピューター業界への過剰な期待を心配していますが、辛抱強く産業を創っていきたいと思います。
行くぞ!!
Quantum Boys, Be Ambitious!!
■量子コンピュータについて
量子コンピュータは、現在のコンピュータとは全く異なる原理で動き、スーパーコンピュータを用いても現実的な時間で解けない複雑ないくつかの問題を高速に解くことが可能であると証明されています。
量子コンピュータが産業界へ莫大なインパクトを及ぼすのは2030年以降とされますが、2019年10月23日に、米GoogleがNature誌において「量子超越」を発表したことに象徴されるように、近年、世界各国で熾烈な開発競争が繰り広げられ、実用化が急速に現実味を帯びています。
この数年で実現されると考えられている量子コンピュータは「NISQデバイス」と呼ばれ、誤り訂正機能がないこと・サイズが中程度(数百量子ビット程度)であることが特徴です。NISQデバイスは、現在の古典コンピュータよりも高速であること(量子加速)が厳密には証明されていないものの、特に量子化学計算の分野での応用が期待されており、2022年頃にNISQの最初の活用事例が生まれるだろうと予想されています。
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