News

QunaSys、量子コンピュータのベンチマーク「QURI Bench」のプレビュー版を公開

~量子コンピュータ活用を目指す企業に客観的な指針を提供~


量子コンピュータ向けソフトウェア・アルゴリズム開発を手掛ける株式会社QunaSys(本社:東京都文京区、代表取締役:楊 天任、以下「QunaSys」)は、2025年5月12日、量子コンピュータのハードウェア性能や特性を独自に評価したベンチマークレポート「QURI Bench」のプレビュー版を、自社ウェブサイトにて公開いたします。「QURI Bench」の正式版については、今年7月中の公開を目指します。


QURI Bench

今回のベンチマークでは、量子コンピュータの適用領域として期待される化学と物性物理の分野から、p-ベンザインと2D Fermi-Hubbard模型を対象に、統計的位相推定アルゴリズム(SPE)の使用を仮定して作成しました。
※直近5年間程度のハードウェアでは量子位相推定(QPE)を実行するのに十分な性能を備えていないと考えられるため、今回はSPEの使用を仮定しています。


*1: p-ベンザインに対するSPEのベンチマーク。空間軌道数が[6, 14, 18, 26]の活性空間でのみ計算。各点はそのデバイスが実行可能な最大の活性空間サイズを表します。
*2: 2D Fermi-Hubbard模型に対するSPEのベンチマーク。格子サイズが[4×4, 6×6, 8×8, 10×10]の場合のみ計算。各点はそのデバイスが実行可能な最大の格子サイズを表します。

前提としている仮定

  • 各社のロードマップ内で、論理量子ビットの情報(量子ビット数・エラー率)が示されているデバイスを対象にしています。
  • デバイスが実行可能なゲート数がSPEの実行に必要なゲート数を上回る場合に、そのデバイスで実行可能としています。各デバイスで実行可能なゲート数は、N回のゲート実行後に33%の論理エラーを許容するという条件に基づいて計算されています。
  • デバイスの全ての論理量子ビットがデータ量子ビットとして使用できることを仮定し、その数がSPEの実行に必要な論理量子ビット数を上回っていることを条件としています。
  • Clifford + T分解を仮定しています。
  • ゲート実行の並列化可能性、およびエラー緩和を使用した場合の性能向上は考慮していません。
  • 2D Fermi-Hubbard模型のベンチマークでは、トロッター誤差の悲観的な見積もりを仮定しています。実際のトロッター誤差はこれよりもはるかに小さいと想定しています。


ベンチマーク提供の背景と意義

量子コンピュータは現在急速な進展を遂げていますが、そのハードウェアの方式や性能はメーカーや技術によって多岐にわたり、業界としての標準的な評価手法も未成熟です。そのため、将来の業務活用を検討する企業にとっては、どのハードウェアを選択し、どのようなアルゴリズムやアプリケーションを実行するのが効果的か、客観的な指針が不足している状況にあります。
QunaSysは特定のハードウェアや方式に依存しない立場から、様々な量子コンピュータの特性を客観的に評価するベンチマークを開発・提供することで、企業が効率よくハードウェアを評価し、導入や研究開発を進められるよう支援します。

「QURI Bench」で企業が得られるメリット

「QURI Bench」は、将来的に量子コンピュータを業務活用することを想定している企業の研究開発部門やIT・DX部門が、以下のようなベネフィットを得られることを目指しています。

  • 多様な方式・メーカーが乱立する中で、ハードウェア選定の時間・コストを削減
  • 各ハードウェアとアプリケーションの相性に関する客観的評価を事前に得ることで、量子コンピュータ活用の試行錯誤を効率化
  • ハードウェア特性を理解した上でアルゴリズム開発や人材育成を行えるため、企業の競争力向上


QunaSysは、このベンチマークを通じて、量子コンピュータの産業利用を推進し、国内外の企業が効果的に量子技術の社会実装を実現できるよう、継続的なサポートを提供してまいります。


株式会社QunaSysについて

QunaSysは、量子コンピュータのソフトウェア・アルゴリズム開発を専門とするスタートアップ企業です。ハードウェアに依存しない技術開発を通じて、量子コンピュータの真価を引き出すソリューションを提供し、企業が効率的に量子技術を活用するための支援を行っています。また、量子コンピュータ活用推進コンソーシアム「QPARC」を運営し、国内外の主要企業と連携しながら実用化に向けた研究開発を推進しています。
本プレスリリースに関するお問い合わせは、以下までご連絡ください。

株式会社QunaSys
広報担当
E-Mail: pr@qunasys.com
URL: https://qunasys.com/

2025/05/12

Category: Press Releases
Category: Press Releases
Year: 2025