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特徴

量子コンピュータは、量子力学で記述されるミクロな世界の量子的重ね合わせを利用することによって、量子ビット数に対して指数的に複雑なパターンを同時に計算するこができます。例えば300qubitを持つ量子コンピュータでは、表現可能な組み合わせの数が全宇宙の原子数を超えます。天文学的な数の組み合わせを量子力学的に重ね合わせることにより、量子コンピュータはすべての可能性を網羅的に探索することができるのです。

そのパワー

量子コンピュータは非常に多くの組み合わせを一度に処理できる計算機ですが、単純に計算結果を取り出そうとすると、たった1つの組み合わせに関する結果しか得られません。そこで、必要な結果を高確率で取り出せるような量子アルゴリズムを賢く設計する必要があります。量子アルゴリズムがなければ、300qubitの量子コンピュータで作り出した重ね合わせ状態を測定しても、宇宙上の全原子からランダムに1つ選ぶだけのマシンでしかありません。
量子アルゴリズムで最も有名なものは、素因数分解を高速に行うShorのアルゴリズムです。これにより、現在広く使われているRSAという暗号方式が破られてしまいます。

産業上の応用

スーパーコンピュータで行っている計算の全てが量子コンピュータで速くなる訳ではありません。量子アルゴリズムを適用することによって真に従来のコンピュータよりも高速に計算することができる問題を見つけることが重要になります。

現在知られている産業上役立つ応用先として以下の分野が挙げられます。

  • 厳密な化学エネルギーを求めることによって材料設計の高度化

  • 金融工学で行う計算(オプション価格など)の高速化

  • 逆行列計算の高速化による流体計算などの高速化

  • 整理されていないデータベースの検索の高速化

ただし、これらの応用は近い将来に実現されるものではありません。計算中のノイズが十分低いレベルに抑えた上で、誤り訂正という機能が必要です。このようなデバイスの登場は20年 〜 50年後であると考えられています。

この数年の量子コンピュータ

この数年の開発のターゲットになっているのは、誤り訂正がないアナログな量子コンピュータであり、NISQ(Noisy Intermidiate Scale Quantum) deviceと呼ばれています。誤り訂正がある量子コンピュータより性能が限られています。
しかし、近年NISQ deviceを活用する研究開発が盛んになっていて、このデバイスをうまく利用して、産業・社会応用を可能にする理論が多く提唱され始めています。
NISQ device は量子力学的な振る舞いをシミューレーションすることや高次元のデータを扱うことが得意とします。そのため量子力学が深く関わる量子化学計算による素材や薬の設計、また機械学習や最適化の高速化への貢献が期待され、世界中で取り組まれています。

 

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